前回:『20241210 菊水のブラウン管式オシロ...』の続きです。
前回お知らせした、ワイヤレススピーカーで立体音響もどきを再生する Bluetoothレシーバー の製作をご紹介します。
💻ワイヤレススピーカーを立体音響に💻
ワイヤレススピーカーはつい買ってしまうので何個かありますが、ステレオなのに臨場感が無く つまらないので飾りになっています。
≣シーイヤーパヴェ≣
立体音響を再生するキューブ型スピーカーを販売するシーイヤーパヴェさんのネット広告を見て、飾りになっているワイヤレススピーカーをその立体音響とやらにしてみたいと考えました。
≣大きな充足理由は位相差≣
以前 マトリクススピーカーをいくつか製作して記事にしましたが、その経験から音場空間が広がって聞こえる大きな充足理由は位相差だろうと考えています。
両耳の視差から来る時間差もあるかとは思いますが、ややこしくて手に余るので今回はパスしました。また、一般的なステレオ音源だけを対象にしています。
≣位相器≣
株式会社エヌエフ回路設計ブロック さんのサイトで紹介されている位相器の記事です。周波数特性は一定で 位相だけズラしてくれる回路です。CRフィルタの減衰時に起こる位相が変化する特性だけを取り出すようなイメージです。
この位相器を、ステレオ信号ラインの片方に入れて 左右に位相差を発生させる回路を考えました。
💻製作💻
≣ハード構成≣
スマホやPCなどのBluetooth音声信号を受信し、それを立体音響もどき化して phoneケーブルでワイヤレススピーカーに接続して再生します。
≣回路図≣
≣基板パターン図(兼作業用資料)≣
≣製作風景≣
≣測定≣
位相回路の動作周波数は 音質への影響が少なく 立体音響もどき効果が十分見込める 260Hz~1KHz間に半固定抵抗で調整できるようにしました。測定と試聴は効果が最大になる 260Hzに調整して行っています。
動作周波数をもっと低くしていくと、スピーカーを逆相に誤配線したような状態になります。逆に高くしていくと、その効果は小さくなりますが 素のステレオ再生に近くなります。
1KHzの波形
50~10KHzの位相(リサージュ波形モード)
/:同相 \:逆相(180度) 〇:90度
250Hz辺りが、位相90度になっています。
≣試聴≣
1mくらい離れたところから聴いた感じでは、それぞれの音像が 下の画像の〇と〇の 間/奥にあるように聞こえます。
近づくともっと広がりが大きくなり、30cmくらいでは目の前全部が音場空間になります。自分の正面でなく横に置いても同じように広がって聞えます。
スピーカー自体を斜めにすると広がりは小さくなります。
つまらなかったワイヤレススピーカーの音場が、目のまえいっぱいに広がって楽しくなるので、一度聴いたら『元にもどせ』という人は多分いないと思います。
ただ、音像の定位感には乏しく フアっと広がった感じになります。
弱点はもう一つあって、位相をズラしただけなので、例えば ステレオテスト音源の片方のチャンネルだけが鳴っているようなときには 音場の広がる効果は全くありません。
マトリックススピーカー方式は その状況でも 3個のスピーカー全部が動作します。
マトリックススピーカーの元祖 SONY MS-33
参考 ⇒『190311 トランスを使ったマトリックス スピーカーの自作(前編)』
簡単な回路なので これはこれでいける思うのですが、作ってしまうと欲が出てきます。
初めにご紹介したシーイヤーパヴェやSONYの全方位スピーカーなどの情報も集めて さらに機能アップしたものを またご紹介したいと思います。
次回お楽しみに...